大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)2219号 判決

被告人 韓正雄

〔抄 録〕

論旨第一点(イ)について。

原判決冒頭に「被告人は昭和二十八年頃東京地方裁判所で、外国為替及び外国貿易管理法違反罪により懲役一年(但し二年間執行猶予)及び罰金五十万円に処され、控訴ついで上告の結果、昭和三十一年二月頃最高裁判所で懲役と執行猶予につき前同及び罰金十万円に処され、目下該上告審判決訂正の申立中である外、昭和三十一年八月一日東京簡易裁判所で、酒税法違反たばこ専売法違反罪により罰金五万円に処された」旨説示している。しかし被告人に右説示のような外国為替及び外国貿易管理法違反罪の前科があることは被告人が原審公判廷でそのような供述をしていることが認められるだけで、他に被告人がそのような刑を受けたことを認めるに足る確証なく、当裁判所が最高裁判所より取寄せた外国為替及び外国貿易管理法違反被告事件(最高裁判所昭和三一年(あ)第三三八号事件)記録によれば、被告人は昭和三十年七月十二日東京地方裁判所において懲役一年五年間執行猶予及び罰金四十万円の判決を受けて控訴し、昭和三十年十二月十九日東京高等裁判所において懲役一年五年間執行猶予及び罰金十万円となり、更にこの判決に対し上告し、現に最高裁判所に繋属中であることが認められるから、原判決冒頭の記載の一部は真実に反するといわなければならない。しかしそれは罪となるべき事実の誤認ではなく、量刑上参酌さるべき資料につき誤認があるというに帰する。そして前記のように未確定の判決ではあるが、本件と同種違反事実により刑の言渡を受けた事実を刑の量定に参酌することは必ずしも不当ではない。原審が説示しているところは、著るしく事実にそぐわないものではあるが、これを是正することにより量刑上差異を来すとはいえず、従つて前記程度の誤は判決に影響を及ぼすこと明白とはいえないから論旨は理由がない。

(加納 渡辺辰 山岸)

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